校舎階段室の最上部が天文部の部室。新校舎の屋上に計画通り立派な観測ドームが出来ていれば、
観測室、観測準備室になっていたはずの場所である。さほど古くない校舎でありながら、雑然とし
ていた。そこを片づけることは少なかったし、そこで部会を開いた記憶もあまりない。
我々が入学した当時、1970年の春には今でも20世紀の大彗星のひとつと言われる、ベネッ
ト彗星が出現していたのだが、あまり騒がれていたような記憶はない。今であればもっとメディア
に取り上げられていたかもしれない。前年はアポロ11号による人類初の月着陸、入学した年の2
月には日本初の人工衛星「おおすみ」も打ち上げられて、それなりの宇宙ブームもあった頃と思わ
れるのだが…扱いが違っていた。時代の違いであろう。
入学した年は、夏合宿が塩見で行われ、天文部の「夏定番行事」ともいえるペルセウス座流星群
の観測を我々も行ったものである。以前、自宅で見たことがあっても、天の川の見える館山で見る
ペルセウス群は見ごたえがあった。1時間に50個以上の流星を見たのは初めてであった。「あっち
に飛んだ!」、「痕(流星の残像のように見える跡)あり!」と騒いだのを覚えている。その合宿で
は星もさることながら、先輩同士の口論があったり、OBの方もいたりして、なかなか賑やかであ
った。学園祭では、組立式の小型プラネタリウムがあったので、教室内にビニールのドームを組み
立てて、毎年投影説明をしたものである。スライドと星空投影をミックスするので、めまぐるしく、
見にくかったかもしれない。天体説明用の8ミリ映画を作ったのは2年の時だったろうか。
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