今年私達は卒業30周年を迎える(私は29年)。8年前にも同期会が催された。在学時学校で会う
より、雀荘やパチンコ店でよく出会った輩はすぐに固まりだした。やがて名刺交換。当時の落ちこぼ
れ連中も立派な名刺を持っていた。「学校の成績と出世は反比例するね」との冗談。その3年後に
も同期会、他にその仲間達と何かと理由をつけては年に数回集まって飲んでいる。
私は現在富山市の南、大沢野町の田圃の中に居を構え、いわゆる不登校児や引きこもりの青年
達18名と農業をしながら共同生活をしている。大学生の登校拒否や社会人の相談も多い。朝6時
半に起床し、昼は東京や大阪から移住してきた百姓仲間や地元のおじさん達農作業で汗を流し、
夜は1日の出来事や今後の農業論等を肴に酒を飲み、疲れて寝てしまうという生活だ。
不登校児といっても十人十色でいわゆる専門家の言うことにも百家争鳴の感がある。基本的な
原因は、彼らは体験不足、つまり失敗が少ない。そして失敗を極度に恐れている。ここでは、昼夜
逆転だった生活からリズムある生活へ、自分の身の回りの事は自分で、そして様々な体験をして少
しずつ自信をつけていくようにしている。常時半数以上の者が学校やアルバイトに通っている。人は
環境が変わり小さな目的ができれば自然に動き出すものだ。勿論、親も考え方を変えれば。
今、大人社会全体がストレスを溜めているようだ。私自身も溜まるが、高校時代幸い落ちこぼれだっ
たので、解消には自信がある。これも新宿高校の自由闊達な校風のお陰で、迷惑をおかけした先
生方には感謝している。担任だった故沢正雄先生に「ほっといてもやる子を大学に入れるだけが
教育じゃないよ。落ちこぼれた子をどうするかが本当の教育だよ。」と生前よく励まされた。
もう目の前の金を追う時代ではなく、心の時代が叫ばれている。子孫に何を残すか、私は教育と
環境だと思う。一昨年NPO法人を立ち上げ、現行の分類収容の福祉ではなく、老人も障害者も健常
者も一緒に生活できる支援センターの委員会を設立した。
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