時計の長針に喩えて人生を考えてみたい。生物体として、人間は最長でも120歳位まで生きる
のが限界だと言われている。60歳を還暦と言うが、時計で考えると1分1年として長針が2周
する2時間(120分)が人間の最長人生となる。日本人の平均寿命は世界最長となり、男性では
喜寿、女性では傘寿を迎えるのが今日では普通である。時計で言うと1時間20分前後となる。
現在では60歳定年が一般的なので、多くの人が長針1周目の1時間で社会的には引退となる。
私達25期生の大多数は現在48歳であり、平均寿命の3分の2近くに位置しており、干支がもう
一巡すると1周目の1時間を迎えてしまう。
新宿高校で過ごした時間は、時計で言うと15分から18分の3分間程であり、インスタント・
ラーメンが出来上がるのを待つ位の時間でしかない訳だが、その3分からどれ程の影響を受け
たことだろう。当時は何気なく高校生活を送っていたような気もするが、社会で活躍する同期
生や先輩諸氏に触発され、名門としての六中からの歴史を持つ校風に誇りを感じ、それを張り
に頑張ってこれたような気がする。高校時代に学習した英語や数学の知識は、私の場合、大学
受験に際しては生かされなかったが、それ以降の人生においては大いに役立っている。高校時
代にはろくに勉強もせずに遊びまくっていた私がいま大学で教壇に立っていることに、同期生
達は大きな疑問を感じていることだろう。自分でも正直言って大いに不思議である。しかし、
いつもどこかで新宿高校に籍を置いたことに自負心を感じ、それがバネとなって頑張ってこれ
たような気がする。
もうすぐ私の長針も2周目に入ろうとしており、どこで止まってしまうか分からないが、そ
の止まる瞬間までしっかりと時を刻み続けたいと思っている。
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