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「5年後またお会いしましょう」

B組 久木元 喜昭

      今回の30周年記念同期会の準備は、会場・会費・参加人数など様々な問題を抱えながら1年前から
    始められてきた。だが、当日はそんな心配事も何のその、すべてを力技で乗りきり、参加された誰
    もが生き生きとしたいい顔で大いに楽しまれた様子。短い時間ではあったがなかなか濃厚な時を過
    ごせたと思う。ただ30年という月日が変えてしまった風貌と、名前が一致しないこともあり、名札
    を確認しながら会話されている様子も会場のあちらこちらで見かけられた。私は当日ビデオ撮りや、
    スナップ写真撮りが忙しく、なつかしい友人ともわずかしか会話が出来なかった事は残念ではあっ
    たが、予想以上の大盛会のうちに終わることができ、参加された同期生の皆さんの新宿高校とのつ
    ながりの深さをあらためて感じさせられた。今ではあの長かった準備期間も当日の忙しさも楽しい
    思い出になりつつある。皆さん本当にお疲れ様。
    幹事の中には本業をまったくそっちのけで、普段の仕事でもそこまで力を入れないのでは? と思え
    るほど、かなり体に無理されてのめり込まれた方も多くいた。だからこそ、今回の30周年同期会が
    大成功のうちに終えることが出来たのであろう。
      私はB組の同期会幹事役を22・25・30回と連続3回も仰せつかったが、今回は本業がちょうど一
    番忙しい時と重なり、他のクラスの幹事さん達に多くの仕事を助けられた。実は私の職場である診
    療室の移転が4月30日にあり、昨年の12月から提出書類の作成や、診療器材の選択、新規テナン
    トビルの内装設備設計、またその後の事務関連の仕事や、診療の移行などで、3・4・5月ほとんど
    家に帰れない始末。もちろんその間も毎日診療していたわけであり、超多忙な毎日を過ごしていた。
    今考えると、若くもないのに、良く倒れずやり遂げたと自分を誉めたくなる。
      今回はそのようなわけで、幹事役としてはかなりフットワークが悪く申し訳なく思っている。
    卒業して30年だが、高校1年生16歳からの友達付合いを入れればまさに33年間も友情が続いて
    いたのかと思うと感謝、感激である。今回の目玉であるCDに入れるべく高校時代の写真を探して
    いたところ、出てくる出てくる、昔の写真、学生証、通学定期、入学時の冊子、轍、学園祭のパン
    フ、修学旅行のしおり、縄跳びの点数表、卒業のときにいただいた50周年記念の文鎮、さらには学
    校の徽章つきの学帽まで出てきた。我ながら良くぞとってあったと感心し、しばし時間の経つのも
    忘れ見入ってしまった。いつものせりふだが、お互いにいい年の叔父さん同士になっても、顔を見
    た瞬間にあの時代に戻れる・・。 むろん、記念写真を撮ったモノリスの外階段では、誰が先生?
    誰が生徒???と容姿はかなりいたんできたのも事実であるが、33年間とは? 人間元気で動ける
    時間のほぼ大半はあるかな・・。 すごい・・・。 
      でも、まだまだ働かなくてはならないのが50歳を目の前にした中年族のつらいところ。後ろを振
    り返り余韻に親しんでばかりはいられない。前を見てがむしゃらに突き進んで生きていかなければ
    ならない。まだ人生中途の年であることには違いないのだから。 
      最近では日常のいろいろな場所で運動能力の減衰に気づき、新たなものへの集中力も鈍化し、仕
    事も後どのくらい続けられるのかと、ふと頭をよぎることがある。人間年を重ねてくると、順番に
    弱ってくるものがある。まず、「歯」次に「目」次に・・・。てな具合に、それも自分ではっきり
    と気づいてしまうところから。鏡の中の自分を認めたくないようなそんな気分。
    まだまだ若いつもりでも確実に加齢による変化は起こってくる。
      そこで生涯かかわっていけるような趣味を持つことを35歳のときに決めた。今までもいろいろ
    なスポーツや趣味を持ってきたと思うが、今日まで続いているものは数少ない。まだ体が動くうち
    に若者に負けることなく出来るようにと。
      ひとつは神輿担ぎ。あまり一般的な趣味ではないが。小さいときからお祭りにはつきものの、あ
    のお神輿ではある。大人になってから担ぐには、それなりの古いしきたりに従わなければならない。
      その神輿のしきたり、伝統も古くからあるもので、身につけたりその中にはまるだけでも日本の
    伝統文化のひとつを垣間見ることが出来る。もちろんそのためには、特殊な上下関係が存在する担
    ぎ手の神輿同好会に所属し、そろいの半纏で神輿を担ぐわけである。今回もちょうど同期会の1週間
    前に、浅草の三社祭で大いに担いで騒いできた。ストレス発散にはちょうどいい。頭の中を真っ白
    にさせるぐらい気持ちのいいことはない。ほぼ毎年、5月から10月にかけて集中して各地で催され
    る祭事に出掛け、年間10箇所ぐらい活動しているわけである。普通ならゴルフが相場かもしれない
    が、あの祭りという雑踏の中で、あの独特な雰囲気が自分には妙に性にあっているらしい。
      神輿担ぎが「動」の趣味であれば、もうひとつがガーデニング。「静」の趣味である。本格的に
    始めたのは19年くらい前だが、一時期これにもかなりのめりこみ、写真を撮ってはコンクールに出
    品していた時代もあった。でも今では、もっぱら花と土とのふれあいが好きで、この春の時期にな
    ると朝1時間早起きし、花の面倒を毎朝みている。もちろん休日ともなれば、普段よりかなり早く
    起き出し、陽のある間は我が家の猫の額のような庭に一日中這いつくばっている。春、秋と草花は
    すべて種から栽培している。中でもバラつくりが好きで、1ヶ月しか咲かないつるバラの面倒を残り
    の11ヶ月、こつこつと本業以上に丹精こめてみているわけである。
      今ではこの2つの趣味が、毎日のエネルギー源になっていると思う。
    仕事人間ではいけない、かといって仕事をしないわけにはいかない。命のうまいすり減らし方、
    すり減る量をうまくコントロールしながら毎日を過ごせれば最高かと。高校卒業して30年経っ
    たが、人生を社会人を卒業するまでには、まだかなり時間が残されている。体が動くうちはまだま
    だ現役。
      元気に過ごして何十周年記念まで出席できるかわからないが、少なくとも2つの趣味が続く間は、
    元気に皆さんにお会いしに出席したいものだ。まずは、次の35周年同期会のお知らせをいただける
    まで頑張ろうと思う。